わたし達は生きていく上で、たくさんの悩みや苦しみを抱えるものです。
人間は基本的ニーズ(衣食住)が叶えられると、その次に悩むのは『自己実現、人間関係、豊かさ、健康』
の4つだと言われています。
あなたに今現在、何か悩み事があるとしたら、それはこの4つの中に含まれるものなのではないでしょうか。
この4つの中でも特に人間関係についての悩みは自分自身だけで解決することの難しい、やっかいな悩みの1つでもありますよね。
社会の中で生きているわたし達にとって、この人間関係抜きで判断できることはひじょうに少なく、また人生に対する影響もとても大きいものです。
巷で起こっている事件のほとんどの原因は、この人間関係のゆがみやトラブルと言ってもいいかもしれません。
人間関係に追い詰められてしまって身体を壊したり、引きこもってしまったりする人もたくさんいるでしょう。
どうしていつも人間関係が上手くいかないのか、誰も知っている人のいない所に行ってしまいたいと本当に苦しんでいる人もいるかもしれません。
そもそも、人間関係はどうして悩みにつながりやすいのでしょうか。
人間関係には親子、夫婦、友達、仕事、恋愛などいろいろあります。
関係が親密になればなるほど、お互いに影響を与え合いますよね。
そして、お互いの言動や考え方が喜びや悲しみ、気分の良さや不快感といった感情を生み出しやすいわけです。
ところで、あなたは自分に苦痛を与えると感じている相手に対して、どんな人物だと思っているのでしょうか?
実は、あなたが相手の中に見ているものは、
なた自身の中にあって、自分ではそうだと認めていない部分
であることが多いんですね。
つまり、相手はあなたの中の見えない部分を映し出してくれる『鏡の役割り』を果たしてくれているということなんです。
「そんなわけはない!わたしとその人は似ても似つかない!」そんな声が聞こえてきそうですけれど、そもそもあなたの中に存在しない概念ならば、あなたにはそれを相手の中に見ることも出来ないはずなんです。
相手の中に何かが見え、なおかつそれが不愉快であるということは、自分の中にあると認めたくない部分だからではないでしょうか。
冷静に、そして正直になって考えてみると相手のその部分は、自分が何かの理由で自分のものとして選択しなかった言動であることがとても多いものです。
その何かの理由というのは、イメージトレーニングの記事でも取り上げた『MYルール』であることが多いでしょう。
「これはいけないこと」「これをしたら悪い人になる」そういったあなたの中のルールに従って、それを選択しないようにと自分を押さえつけているわけです。
けれど、本当はあなたの中にそれはあるんです。
たとえば他人を騙すという概念がない人であれば、たとえ誰かに騙されることがあったとしても、騙されたとは絶対に感じないはずなんです。
ですから、「わたしは騙されやすい。」と思っている人は自分の中に『他人を騙す』という概念があって、なおかつ他人を最初から騙してくる相手として構えている(期待している)からそれを引き寄せやすいんですね。
また、他人がその言動を選択するときの気分がなんとなくわかるから、なおさら不愉快になるわけです。
なぜそれをするのか、まったく想像もつかない場合は、驚くかもしれませんが直接不快感に直結するわけではないかもしれません。
もちろん、それによって自分が直接的な被害を被るならば、また話は違ってきますが、その場合に感じやすいのは純粋な不安感や恐怖であって、不快感や悲しみではありません。
「自分の中にもそういう部分が存在しているんだ。」
と認めてあげると、他人の中にそれを見たとしても、今までとは違って、とても気分が楽になるものなんですね。
それをやってはいけないと決めたのはあなたの中の『MYルール』であって、相手のルールではないんです。
あなたの中にある全ての側面を知るために、人間関係はどんなに不愉快なものであったとしても、とても役に立つ、ありがたいものなのかもしれませんね。