Auto-Groove

中林香が贈る女性のための心と体と車のブログ

元・女性レーシングドライバーの中林 香(なかばやし かおる)が、クルマの運転はもちろん、元スポーツ選手としての経験と、大学で心理学を専攻して得た知識をもとに、よくある心の問題やちょっとした体の不調との向き合い方、ストレスの対処法など、ココロとカラダに優しい生活をおくるための知恵やテクニックをご紹介します。

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クルマとエコロジー問題(1)基本知識
クルマの話, クルマ全般

クルマとエコロジー問題(1)基本知識

この問題を扱うことは「クルマのある楽しい生活」を提唱しているわたしには少々気が重いことです。
なぜなら、極端に言ってしまえば、「エコロジー的には、クルマに乗らないのが一番良い。」という話に行きついてしまうからです。
けれど、小さなお子様のいらっしゃるご家庭にとってクルマは大変に便利な移動手段ですし、また、老人介護などの場面でも大いに活躍してくれますよね。一度クルマのある生活を経験してしまうと、なかなか『クルマに乗らない』という選択は難しいのではないでしょうか。
日々の生活の中でクルマを必要とする、またクルマとの生活を楽しみ愛するわたし達は、この環境問題について見て見ないフリをするのではなく、クルマが環境に与える問題点をきちんと認識した上で、「どんなクルマを選ぶのか?」 また、「どんな乗り方をするのか?」をもう1度検討してみるべきでしょう。
もちろん、このエコロジー問題に関しては、ご存知のように各自動車メーカーでもさまざまな取り組みや開発が進んでいます。すでに販売され人気のある「ハイブリッドカー」だけではなく、もっと多様なアプローチの低燃費車種も次々と発表されていくでしょう。
ただ、この環境問題はわたし達の、いえ、地球とそこに生きる全ての生物の未来を左右するとても大切な問題です。クルマを作る側の自主努力に任せて他人事のように見守っている場合ではありません。
「環境なんてわたし一人がちょっとくらい頑張っても良くなるってわけでもないし・・・・。」・・・本当にそうでしょうか?
個人の力が集まって大きな社会の力や流れになるのです。
今すぐ、『わたし達一人一人が出来る事から』始めてみましょう。
クルマを『エコロジーの大敵』にしないために・・・・、わたし達の地球と、明るい未来を守るために・・・・。
(1)クルマが引き起こす環境問題とは?(基本知識)
少しむずかしい話になりますが、まずは『クルマが引き起こす環境破壊とは何か?」を正しく知るところから始めてみましょう。
自動車公害というと、以前から自動車(特にディーゼル車)の排気ガスによる窒素酸化物(NOx)、浮遊粒子状物質(SPM)などの人体に対する悪影響(発ガン、喘息など)、光化学スモッグ、酸性雨、騒音公害などが 指摘されていましたが、現在最も問題視されているのが、地球温暖化に対する悪影響と言われています。
自動車は化石燃料(ガソリン、軽油)を燃やすことによって動力を生み出していますが、同時に大量の二酸化炭素(CO2)を大気中に放出しています。この大量のCO2が地球環境にとって、どのような悪い影響をもたらすのでしょうか?
地球の気温は、太陽からの日射エネルギー量と地球から宇宙に出ていく熱量のバランスで決まります。太陽光線は大気を通過して、まず地表を暖め、熱を吸収した地表からは熱エネルギーが大気中に放射されます。その後本来ならば宇宙に出ていってしまうはずのエネルギー(赤外線)が、CO2や水蒸気などの微量気体によって吸収され大気中に留まり、温室のように地球を暖める事を「温室効果」と言います。
元々はこの温室効果をもたらすガスには、地球上の気温を平均約15℃に保つという大切な役割があり、自然界で生み出される量ならば何の問題もありませんでした。
この温室効果ガスと呼ばれるものには、CO2のほかにもメタンやフロンなどがありますが、とりわけ、フロンなどの人工の化学物質は二酸化炭素より温室効果が強く、微量でもその影響が大きいとされています。地球の温暖化は大気中に大量に放出された二酸化炭素やフロンなどが原因であり、これは人為的な活動の産物です。
現在数々指摘されている地球環境問題の中でも、この「温室効果」が地球に及ぼす影響がもっとも大きく、また深刻であると言われています。もし今後、地球規模で気温が上昇していってしまった場合、地球環境に大きな変化が起こり、動植物の生態系にまで影響を及ぼすことは周知の事実です。
具体的には、「激しい気候の変化や局所的な異常気象」「海水面の上昇による地形の変化、陸地の水没」「絶滅する何種もの動植物」「水害の多発、または砂漠化する地域の出現」「農作物、水産物への影響から来る食糧難」などといった様々な影響がすでに世界各国で起こりはじめています。
地球環境は本来、あらゆる面で絶妙なバランスの上に成り立っていました。今までは何とか持ちこたえてくれていたこのバランスがひとたび大きく崩れた時、本当に何が起こるのか、わたし達人間が生き延びる事が出来るのか、現時点では誰にもわからないでしょう。
環境庁などの資料によると、このままのペースでCO2の排出量が増えつづけた場合、21世紀末には平均気温で約2℃の上昇、海水面は平均約50cmの上昇と予想されています。この数字だけを見るとたいした変化だと思えない人も多いでしょうが、実はそこには数字の錯覚があります。
これらの数字はあくまで地球全体の平均値であり、最高値ではありません。地域によっては致命的なダメージを受ける数字かもしれないものでも、平均値にするとマイルドな数字に見えてしまいます。
また、その変化は100年後の遠い未来にいきなり起こるというものでもありません。現在すでにその兆候が現れています。世界各国ですでに起こっている異常気象や大規模な自然災害などは、地球からの最後通告なのかもしれません。
日本のCO2排出量は年間およそ3億4千万トンで、1ヶ国だけでアフリカ大陸全体や南米大陸全体よりも多くのCO2を排出しています。その内訳は、工場などの生産部門から約30%、発電部門から約25 %、家庭から約25%、そして自動車から約20%という割合です。
自動車からの割合の中で自家用車から排出されるCO2を約15%とすると、個人あるいは家庭において排出するCO2の総量は日本全体の4割以上にもなります。1997年に行われた地球温暖化防止京都会議では「京都議定書」という形で、初めてCO2など温室効果ガスに関する先進国の削減数値目標が決められ、日本は2008~2012年までに1990年水準の6%カットを実行する事に決まりました。
しかし、科学者レベルの判断では、現在の温暖化の進行を止めるためには、もはや温室効果ガス(CO2)の排出量を、森林や海水の吸収容量を考慮して、現在の半分以下にしなければならないという非常に切迫した状態となっています。
これは単に国や自治体、あるいは企業などの自主的な努力や新しい技術開発に任せておけば済むといった問題ではなく、わたし達一人一人が小さな事からでも常に地球環境に対する配慮を心がけ、個人レベルでも出来る限りの努力をしていかなければどうにもならない段階まで進んでしまっているということです。
各家庭で取り組まなければいけない温暖化対策としては、ゴミの削減、節電または節水、リサイクルなどの様々な方法が挙げられ、すでに実行されていらっしゃる方も多いと思いますが、クルマにおいてもわたし達自身がすぐに実行できるエコロジー対策がたくさんあります。
1人の努力は微力でも、多くの人が実行すれば必ず良い結果が現れます。また消費者レベルで意識やニーズが劇的に変われば、自動車メーカー各社の技術開発のスピードもさらに早まることでしょう。