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中林香が贈る女性のための心と体と車のブログ

元・女性レーシングドライバーの中林 香(なかばやし かおる)が、クルマの運転はもちろん、元スポーツ選手としての経験と、大学で心理学を専攻して得た知識をもとに、よくある心の問題やちょっとした体の不調との向き合い方、ストレスの対処法など、ココロとカラダに優しい生活をおくるための知恵やテクニックをご紹介します。

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本当に「健康」に生きるって?
カラダの話, 健康

本当に「健康」に生きるって?

昔からずっと「ちょっと変だなぁ~」と気になっていたテレビのCMがあります。
医薬品メーカーの「食べ過ぎたら飲む」っていうやつです。特に忘年会シーズンになると頻繁にCMが流れていたように思います(今はTVを見ていないのでわかりませんが・・・)。
このCMを見るたびに、「これがあるから食べ過ぎても大丈夫って思う人もいるのかな?」と感じていました。必要以上に食べて、気分が悪くなったら薬で消化を助けてもらってまた食べる・・・。なんだかすごく不健康で不自然な感じがしていました。
日本ではもうずっーと長い間「健康ブーム」が続いていて、健康食品や健康器具などの市場は何百億円とも何兆円とも言われています。つまり、「健康」って言葉を持ち出せば、すごく利益に繋がりやすい、健康=良いビジネスになっているということですよね。
たとえば、昔は人が自分でやっていた、ちょっと面倒なことは、今では全て機械が代わりにやってくれます。日常の掃除、洗濯、食器洗いに至るまで、スイッチポンだったりします。
どこかに移動するのも、交通機関が充実していて、1日に歩く距離なんてほんの少しだけ。
本来、使うエネルギー量(運動量)が減ったら、取り入れるエネルギー量(食事量)もそれに合わせて減らさなければバランスは維持できませんが、昔の重労働をしていた人たちよりも現代人は明らかに多くの食事(高エネルギー)を摂取していると思います。
使用量<摂取量ならば、どう考えても使用できなかった分は貯蔵される・・・つまり太るのは当たり前のことだと思います。
わたし自身も、現役時代と比べると、○kgくらい体重が増えています。現役時代はずっと、トレーニングを5時間くらいやって、その上食事もコントロールして減量していたので、自分の本来の適性体重より軽かったと思いますが、食べたいものも我慢してトレーニングし続ける毎日はけっこう辛かったです。その反動で、引退後はトレーニングらしいトレーニングをしていなかったですし、食べたいように食べていたので、重量オーバー気味になりました(汗)食べたいものを食べたいように食べて、お酒を飲んで、トレーニングもしないでいれば、以前の生活から考えれば太るのは当たり前なので、「あははー太っちゃった~♪太っても良い生活って楽だわぁ~!」くらいにしか思ってませんでしたが、過去の怪我の後遺症の状態が悪くなって、さすがにマズいなと思い、毎日大学から家まで歩いて帰るようになりました。
とにかく歩くだけです。でも、ただ漫然と歩くのではなく、身体のどこを動かしているのかを意識しながら、なるべく多くの身体のパーツをバランスよく動かすように歩きます。これは以前のようなキツいトレーニングではないですし、一歩一歩自分の力で家に辿り着こうとしているんだなぁと思いながら歩いて帰宅するのも、結構楽しいものです。おかげで身体の不調はほとんど解消できました。運動量をこのままにして、食事量と飲酒量(笑)をもっと減らせば当たり前ですが体重は減ると思います。つまり、太るのも、身体に痛みが出るのも、普段の生活に原因があり、何かが間違っているのだということだと思います。
太りたくない、身体の不調をなんとかしたいと思うならば、普段の生活を見直し、どこに原因があり、どうすればその原因を取り除けるのかを考え、行動を変えなければなりません。
たとえば、痩せる健康食品だとか、運動しなくても良い健康器具などは、実際に効果があったという話を周囲からは聞いたことがありませんし、万が一明らかに高い効果があったとしたら、それは高いお金を払って、強烈に自分の身体に負担をかけているということではないかと思います。食事量を変えずに体重を落とす成分って、一体どんなものなんでしょうか?どんなものであっても、人間が身体に取り込んだものは、身体が処理しているということですよね。
その処理の過程で、食べた栄養分が無かったことになってしまうという不自然な反応が起こる物質を、本当に「健康食品」と言って良いのでしょうか?
それに、そのような方法では、ある結果(太る)の原因(栄養過多)を取り除かずに、別の原因を付け加えて、更に別の結果に表面的に変えているだけなので、その状態を維持するためには、一生その方法を続けていかなければいけないという事になってしまいます。
「健康」に生きるってどういうことでしょう?わたしは、自分の身の回りのことは、なるべく自分の身体を使って自分でやること、その動いた分量に見合う分だけの食べ物をありがたく頂くこと(1日必ず3食食べなければいけないとも思っていません。「働かざるもの食うべからず」は、健康のための言葉だと思っています)、そして情報に過剰に反応しないことだと思っています。
「情報」にはさまざまな側面があります。情報によって生活がより良くなることも多いですが、「その情報で利益を得る人や企業」がいる場合もとても多いです。特に「健康」に関する情報は生きているほとんどの人にとって関心のあるものですから、その分利益に直結しやすい情報だということを、情報を受け取る側のわたし達も、考えておく必要があるのではないでしょうか。
情報に踊らされるのではなく、自分自身の身体ときちんと向き合って、必要ならば生活の仕方を変えて、それを習慣づけていくこと・・・。「健康」にお金がかかるのはおかしなことだと冷静に判断できる力が、今の社会を健康的に生きていく上で、もっとも必要な能力かもしれませんね。